カリフォルニアワインを楽しむうえで役に立つ、ブドウ畑やワイナリー、セラーのお話です。
ワイン生産
春
気温が暖かくなってくると、ブドウ樹は休眠から目覚めて、発芽を開始します。3月初旬には芽吹きが始まり、ブドウ畑は萌黄色に染まります。 畑のスタッフは、畝に張ったワイヤーに新梢を結んで、ブドウ樹を仕立てます。ブドウ樹の新梢は成長期を通じて、日当たりや風通しを考慮して仕立てられます。
夏
カリフォルニアの夏は乾燥していて温かく、朝のうちは海からの霧でかすんでいるものの、午後には真っ青な空が現れます。6月には花房がみられるようになり、枝葉が空に向かって伸びていきます。 カリフォルニアの陽光はブドウの生長に必要な熱をもたらし、涼しい夜のおかげでブドウ果は酸を保持します。7月末から8月初頭にかけて、ブドウは果粒の色づき期(ヴェレゾン)を迎え、黒ブドウの場合は赤黒く、白ブドウの場合は黄緑色に変色します。色づき期以降、果粒は軟らかくなり、内部に糖が蓄積されるようになります。ブドウ品種により、4-6週間で収穫を迎えます。
秋
秋は収穫の季節です。ワインメーカーたちは頻繁にブドウ果をサンプリングして、糖度や酸度、酸性度などをチェックし、収穫のタイミングを決めます。 収穫は通常、真夜中から早朝にかけて行い、ブドウが冷たい状態のまま、ワイナリーに運び込みます。収穫は数人のチームで行うのですが、1ヘクタールのブドウ畑の収穫には2時間程度かかります。 ワイナリーに到着したブドウはただちに、除梗・破砕機にかけられます。ブドウ果からジュースが流れ出し、ワイナリーは甘い香りに包まれます。
冬
冬は休眠期です。ワインは樽やタンクで眠り、醸造スタッフも少しゆったりしています。カリフォルニアの冬は雨季で、夏にはほとんど降らない雨が、毎日のように降ります。風が冷たくなって、寒い日が続きます。 11月末から2月にかけて、ブドウ樹は葉を落とし、休眠します。セラーでは、前年に収穫されたワインの瓶詰めが行われます。ブドウ畑では、ブドウ樹の剪定が行われ、前年に伸びた新梢を切り落とします。
豆知識
1. HARVEST
カリフォルニアでのブドウの収穫は通常、8月末から9月上旬に始まります。天候やブドウ品種により、11月まで続くこともあります。
2. CRUSH
ワイナリーに運び込まれたブドウは除梗・破砕機に入れられ、果粒を果梗から外し、果粒を軽く潰します。赤ワインの場合は果粒(果皮、果肉、果汁、種子)が発酵タンクに入れられ、果皮に含まれる色素がワインを赤く染めます。白ワインの場合はすぐに果粒からジュースを絞り、濁りを沈めた後で、アルコール発酵を開始します。
3. FERMENTATION
酵母がブドウ果汁に含まれる自然な糖分を代謝し、主にアルコールと炭酸ガスに変換します。アルコール発酵はステンレスタンクで行われることもあれば、オーク樽で行われることもあります。すべての赤ワイン、および一部の白ワインでは、酸度を下げる目的でマロラクティック発酵を行い、強い酸であるリンゴ酸を、おだやかな乳酸と炭酸ガスに変換します。発酵はワインにより、3日から3週間程度続きます。
4. AGING
アルコール発酵後のワインは、オーク樽やステンレスタンクで落ち着かせます。赤ワインの場合はオーク樽で1-2年熟成させることが多く、白ワインは1週間から1年程度熟成させます。伝統的ボトル内二次発酵を行ったスパークリングワインの場合は、2年以上瓶内で熟成させます。
5. FINISHING
ワインは安定化や清澄作業を経たうえで瓶詰めされます。清澄作業には、卵白やゼラチンなどが用いられることがあります。また、酸化防止剤として、二酸化イオウが添加されます。
6. TIRAGE (ONLY FOR SPARKLING)
スパークリングワインは一般に、非発泡性ワインをブレンドしてベースワインをつくり、これに糖と酵母を加えて密閉容器で二次発酵させます。アルコール発酵によって生ずる炭酸ガスの逃げ場がないため、ワインは発泡性を帯びます。